静電容量型近接センサーは、電界を利用した非接触型のセンサーで、物体の有無を検出することができます。対象物が電界に進入した際の静電容量の変化により対象物を検出する為、金属等の導体や、誘電体である水、油、ガラス、プラスチック、紙など、様々な物体を検出できることが大きな特徴です。ただし、対象物の材質(比誘電率の違い)や形状(大きさ、厚さ、細かさなど)によって検出距離と感度が異なり、また、水や湿気の影響を大きく受けるため、選択と設置の際には注意が必要です。感度調整機能が付いているタイプもあり、非金属の容器外から内容物を検出する際に感度調整をして使用されます。
静電容量型近接センサーとは
構造と動作
一般的には、発振回路(電界を発生させる検出用電極が組み込まれている)と、発振回路の発振周波数の変化を検出する検出回路から構成されています。未検出時は、検出領域となる検出用電極の電界に対象物が存在しないので、発振回路の発振周波数に変化はありません。検出領域に対象物が進入すると、検出用電極の電荷の増加により静電容量が増加し、発振回路の発振周波数が変化します。この発振周波数の変化により、対象物を検出し、デジタル(ON/OFF)で出力します。
検出距離は、水のような比誘電率が高い対象物は長く、紙のような比誘電率が低い対象物は短くなり、また、形状は大きい方が長くなります。そのため、検出したい対象物の種類や検出方法に合わせて、適切に選択する必要があります。
図1:一般的な静電容量型センサーの動作イメージ
特徴
- 金属はもちろん、水、油、ガラス、木材、プラスチックなどの検出が可能。
- 検出する対象物の材質、大きさ、厚さ、細かさ(粒/粉)などにより検出距離と感度が異なる。
- 水に対しての感度が高いため、水滴や湿気などの影響を受けやすい。
- 超音波センサーや光電センサーなどと比較して、検出距離が短い。
- 感度や検出距離を長くする場合は、検出面が大きくなる。
強み・弱み
強み
- 金属、水、油、ガラス、木材、プラスチックなど、様々な対象物を検出できる。
- 容器(非誘電率の低い物)の外側から、内容物の検出ができる。
弱み
- 検出距離が短い。
- 応答速度が遅い(最大、数十Hz程度)。
- 検出面に水滴がかかったり、湿度が変化したりすると、検出が不安定になる。
補足
アンプを分離した、狭い場所でも設置可能な小型、薄型、フレキシブルな検出用電極を備えたタイプなどがあります。また、検出する対象物を限定したタイプや検出距離が長いタイプ、高温環境で使用できる耐熱タイプ、検出環境に合わせて感度調整が可能なタイプなどもあり、用途などに合わせて選択することができます。
適応アプリケーション
- 容器外からの内容物の検出。
- タンクの液面検出。