誘導型近接センサーは、磁界を利用した非接触型のセンサーで、物体の有無や物体までの距離を検出することができます。対象物が磁界に進入した際に発生する電磁誘導により対象物を検出するため、検出対象は金属に限定され、水、ガラス、紙、木材などの非金属の物は検出することができません。動作サイクル周波数が高いことも特徴の一つで、高速で回転する歯車などの検出で使用されています。ただし、対象物の種類(磁性体/非磁性体)や大きさ、センサーの検出面の大きさによって検出距離が異なるため、使用するアプリケーションに合わせて選択する必要があります。
誘導型近接センサーとは
構造と動作
一般的には、磁界を発生させる検出コイル、検出コイルに流れる高周波電流を作る発振回路、発振回路の発振周波数や振幅の変化を検出する検出回路から構成されています。未検出時は、検出領域となる検出コイルの磁界に金属が存在しないので、発振回路の発振周波数、振幅に変化はありません。検出領域に対象物(金属)が進入すると、対象物に誘導電流が発生し、検出コイルのインピーダンスが変化した場合は、高周波の振幅が変化します。この変化により、対象物を検出し、アナログ(電流値、若しくは電圧値)、若しくはデジタル(ON/OFF)で出力します。
検出距離は、対象物の種類や大きさによって差異がある為、基準となる標準検出体(例:正方形(一辺が検出距離の3倍)の厚さ1mmの軟鉄)が定められている。定格の検出距離は、標準検出体を検出する場合の距離となり、標準検出体より小さい場合は、検出距離が短くなります。
図1:一般的な誘導型近接センサーの動作イメージ
特徴
- 検出体の有無(デジタル出力)と距離(アナログ出力)を非接触で検出することができる。
- 検出する対象物は金属のみで、非金属は検出しない。
- 磁性金属(鉄、コバルト、ニッケルなど)と非磁性金属(アルミニウム、チタンなど)では、磁性金属の方が検出距離は長い。
- 超音波センサーや光電センサーなどと比較して、検出距離が短い。
- 高い繰り返し精度。
- ほこりや煙や水や油などの影響をほとんど受けない。
- 動作サイクル周波数が高い(最大で、数kHz程度)。
強み・弱み
強み
- 応答速度が早い(最大で、数kHz)。
- 検出時に、水やほこりや煙などの影響を受けない。
- 繰り返し精度が高いので、ON/OFFの切り替え位置がほぼ一定になる。
弱み
- 非金属の対象物の検出ができない。
- 感度や検出距離を長くする場合は、検出面が大きくなる。
- 超音波センサーと光電センサーなどと比較して、検出距離が短い。
補足
アルミなどの非磁性金属で高い感度を有するタイプ、小型タイプ、高温域対応の耐熱タイプ、小さい対象物の検知に優れた環状の検出ヘッドのタイプなどがあります。また、形状が多彩で、円柱型、角型、O字形、U字形など、用途や設置場所に合わせて選択することができます。
適応アプリケーション
- ギアの回転数の検出。
- ドアの開閉確認。
- 工作機械の位置決め。