レベルスイッチは、タンクや容器や配管内の液体や粉体などの液面や粉面のレベルを検出する接触式のセンサーです。特に、タンクや容器内で検出対象物が上限や下限に達したかの検出やポンプの空運転防止に使用されています。特徴としては、検出する対象物は液体や粉体や粒体など多様で、粘性体や薬品、酸、アルカリなどの多種の対象物を検出することができます。その反面、検出対象物ごとに多種のレベルスイッチが用意されており、検出方法も全く異なるため、検出対象物や用途、使用環境などに合わせて適切に選択する必要があります。検出方法は、主に、フロート式や音叉式、電極式、静電容量式、次世代レベルスイッチなどがあり、それぞれ、特徴や原理、構造などが全く異なります。
レベルスイッチとは
フロート式レベルスイッチ
概要
フロート式レベルスイッチは、液面に浮くフロートを利用した機械式の接触型のレベルスイッチで、主に、液体の高さの検出に使用されます。液面に浮くフロートとスイッチで構成されており、フロートが一定の高さに達すると連動してスイッチのON/OFFが切り替わり、レベルを検出します。
構造と動作
液面に浮くフロートとそのフロートの上下と連動してON/OFFするスイッチで構成されており、液面が任意の高さになった時にレベルを検出するように設置します。未検出時は、液面が任意の高さに達していないので、スイッチがOFFの状態になっていますが、液面の高さが変化すると、それに合わせてフロートの高さが変化し、任意の高さに達すると、スイッチがONになり、レベルを検出します。
図1:横型フロート式レベルスイッチの動作
図2:縦型フロート式レベルスイッチの動作
特徴
- 比較的安価。
- 液体のみの検出が可能。
- 液体の電気特性に依存しない。
- 構造が単純で設置等が容易。
- 古くから使用されていて信頼性が高い。
強み・弱み
強み
- 駆動電源が不要。
- 比較的安価。
弱み
- 可動部があるので、ゴミ等が詰まると動作不良が発生する。
- 液体の粘度が高いと、フロートの動きが鈍くなる。
- 液面が波打っていると、検出が不安定になる。
補足
ケーブルに接続したフロートの上下が反転するのを利用したタイプやフロートにワイヤーを接続して、その長さの変化でレベルを検出するタイプなどがあります。また、フロートを複数個備えた多点検出タイプもあります。
適応アプリケーション
- トイレのタンクや給水設備。
- 化学工場の薬液タンク。
音叉式レベルスイッチ
概要
音叉式レベルスイッチは、振動を利用した接触型のレベルスイッチで、主に、液体や粉体や粒体などの高さの検出に使用されています。振動する音叉状の検出部とその振動の変化を検出する検出回路から構成されており、検出対象物が検出部の高さに達すると、そのレベルを検出します。
構造と動作
2枚の振動翼を備えた音叉部と、その振動翼の振動数の変化を検知する検出回路で構成されており、検出したい上限や下限の高さに設置します。未検出時は、検出部である音叉に検出対象物が接していないので、振動数は一定となります。検出対象物が検出部の高さに達すると、検出部に対象物が接して、振動数が低下し、その変化を検出回路が検知し、レベルとして検出します。
図3:音叉式レベルスイッチの動作
特徴
- 液体、粉体、粒体などの検出が可能。
- 上限と下限の検出に適している。
強み・弱み
強み
- 機械的な可動部品がない。
- 液体、粉体、粒体の検出が可能。
弱み
- 対象物が、音叉の間に挟まる可能性がある。
- 粘度が高い液体やクリーム状の対象物の検出には適さない。
- 検出対象物の比重が軽いと、反応しないことがある。
補足
食品業界で使用できるハイジェニックタイプや防爆仕様のタイプなどがあります。
適応アプリケーション
- ホッパーやサイロでの粉体と粒体の上限と下限検出。
- タンク、容器内の液面の上限と下限検出。
電極式レベルスイッチ
概要
電極式レベルスイッチは、電極間の抵抗値の変化を利用した接触式のレベルスイッチで、主に、導電性の液体の高さの検出に使用されています。グランド電極と検出電極から構成されており、2本の電極の両方が液面に接すると、電極間の抵抗が下がり、レベルを検出します。
構造と動作
主に、棒状のグランド電極と検出電極で構成されており、液面が任意の高さに達した時に検出電極に接するように設置します。通常、グランド電極は検出電極より長く、検出電極よりも先に液面に接しています。未検出時は、液面が検出電極の高さに達していないので、グランド電極と検出電極間の抵抗値は大きくなりますが、液面の高さが検出電極の高さに達すると、グランド電極と検出電極間は短絡し、抵抗値が小さくなり、レベルを検出します。
図4:電極式レベルスイッチの動作
特徴
- 比較的安価。
- 液体の電気的特性に依存する。
強み・弱み
強み
- 機械的な可動部品がない。
- 1台で多点のレベル検出が可能(検出電極が複数の場合)。
弱み
- 検出対象物の電気的特性によって、感度を選択する必要がある。
- 導電性の液体しか検出できない。
- 油分やカルキなどの絶縁性の汚れに弱い。
補足
酸やアルカリなどに対しての耐腐食性の高いタイプや多点出力タイプもあります。
適応アプリケーション
- 水槽内の浄水や汚水などの水位の制御。
- タンク、容器内の液面の水位の制御。
静電容量式レベルスイッチ
概要
静電容量式レベルスイッチは、静電容量の変化を利用した接触型のレベルスイッチで、主に、液体や粉体などの高さの検出に使用されています。グランド電極部と検出電極部が絶縁部を挟んで同軸上に配置された棒と検出回路で構成されており、両方の電極部が検出対象物に接すると、電極部間の静電容量が変化し、その変化を検出回路が検知し、レベルとして検出します。
構造と動作
グランド電極部と検出電極部の間に絶縁部を設けた電極棒と、グランド電極部と検出電極部間の静電容量の変化を検知する検出回路で構成されており、検出したい高さでグランド電極部と検出電極部の両方が検出対象物に接するように設置します。未検出時は、両方の電極部に検出対象物が接していないので、静電容量は一定となります。検出対象物が、グランド電極部と検出電極部の両方に接すると、電極間の静電容量が変化して、その変化を検出回路が検知し、レベルとして検出します。
図5:静電容量式レベルスイッチの動作(液体検出の場合)
特徴
- 液体、粉体、粒体などの検出が可能。
- 上限と下限の検出に適している。
強み・弱み
強み
- 機械的な可動部品がない。
- 液体、粉体、粒体など様々な種類の対象物の検出が可能。
弱み
- 検出する対象物の材質、大きさ、細かさ(粒/粉)の違いによって、感度を選択する必要がある。
- 粘度が高い液体やクリーム状の対象物の検出には適さない。
- 濃度や形状が変化すると、検出が不安定になる。
補足
耐熱性に優れたタイプや電極がフラットになっているタイプ、グランド電極と検出電極が分離しているタイプなどがあります。
適応アプリケーション
- ホッパーやサイロでの粉体と粒体の上限と下限検出。
- タンク、容器内の液面の上限と下限検出。
次世代レベルスイッチ
概要
次世代レベルスイッチは、周波数スイープ技術(Frequency sweep technology)を利用した接触型のレベルスイッチです。主にタンクや容器内の様々な対象物のレベル検出に使用され、検出部が対象物に沈むか、対象物から出た状態を検出します。次世代レベルスイッチは、音叉式等では苦手であった、粘性の高いクリーム状の対象物や大きさの異なる粒体の検出も可能で、1つのレベルスイッチで液体、粉体、粒体、クリーム状、泡等の対象物を検出することができます。また、検出には、物質や大きさによって異なる誘電率を利用しているので、粘性の高い対象物が検出部に付着していても検出にはほとんど影響がなく、対象物を区別して検出することも可能です。ただし、対象物の区別などを行う場合は、検出条件を設定する必要があります。
構造と動作
次世代レベルスイッチは、検出部である先端とその周囲の物質(例えば、液体や粉体、空気など)で形成された仮想コンデンサ(キャパシタ)と、スイッチ内部のコイルにより構成された共振回路を応用した周波数スイープ技術によって対象物を検知します。物質ごとに固有の誘電率を持っていることから、仮想コンデンサの静電容量は検出部の周囲の物質の誘電率に応じて決定されます。周波数スイープ技術では、この物質固有の誘電率に応じて得られる応答周波数を利用しているので、検出したい対象物の応答周波数に合わせて検出条件となるトリガ閾値をあらかじめ設定しておく必要があります。未検出時は、検出部に接している物質の応答周波数が、設定しているトリガ閾値に達していないため、反応しません。目的の検出対象物が検出部の高さに達すると、検出部に検出対象物が接し、設定したトリガ閾値を超え、レベルとして検出します。このトリガ閾値はスイッチ内部に保存され、範囲での設定や再度変更することが可能です。
図6:次世代レベルスイッチの等価回路
図7:次世代レベルスイッチの動作
特徴
- 液体、泡、粉体、粒体、クリーム状、高粘度の物など、様々な物の検出が可能。
- 検出する対象物の材質、大きさ、細かさ(粒/粉)などによって、区別しての検出が可能。
- 泡を検出したり、無視したりすることができる。
- 液体、泡、粉体、粒体、クリーム状、高粘度の物などを1つのレベルスイッチで対応できる。
- PNP、NPN出力が選択、設定できる。
- ハウジングはステンレスで、検出面はPEEK材なので、耐薬品性が高く、食品飲料関係のアプリケーションでの使用も可能。
- 上限と下限の検出に適している。
強み・弱み
強み
- 液体、泡、粉体、粒体、クリーム状、高粘度の物など、ほとんどすべての種類と形状の物を、一つのレベルスイッチで検出できる。
- 検出対象物を区別した検出が可能。
- 検出面への対象物の付着や、液面の泡の影響をほとんど受けない。
- 液面が波打っていても、影響を受けにくい。
- 機械的な可動部品がない。
弱み
- 研磨作用がある対象物には使用できない。
補足
衛生管理の必要な食品飲料業界での需要が高いことから、食品業の安全基準であるEHEDG認証や3A、FDA規格をクリアした食品飲料アプリケーション対応タイプがあります。また、ATEX指令に対応した防爆タイプや高温に対応した耐熱タイプ、IO-Link対応やデジタル出力が可能なタイプ、残滓の影響を抑える長軸タイプなどもあります。
適応アプリケーション
- 泡の検出と除外。
- 液体と泡の境目の検出。
- メディアの区別。
- チョコレートやクリーム状や高粘度の対象物の検出。
- 食品や飲料や化粧品の検出。
- ホッパーやサイロでの粉体と塊体の上限と下限検出。
- タンク、容器内の液面の上限と下限検出。
レベルスイッチの特徴(共通)
- タンクや容器や配管内の液面と粉面の高さを検出する。
- 多種多様の検出対象物ごとに、多種のレベルスイッチが用意されている(次世代レベルスイッチを除く)。
- 粘性体や泡の検出が困難(次世代レベルスイッチを除く)。
- 接触型の為、メディアの温度が本体に伝わりやすい。