ステンレススチール(Stainless Steel)は、鉄(50%以上)にクロム(10.5%以上)と炭素(1.2%以下)を含有した合金で、Stainless(錆びない)steel(鋼鉄)の文字通り錆びにくい材質になります。

錆びにくい理由は、ステンレススチールに含まれるクロムが空気中の酸素と結合することによって、不働態被膜が形成され、この不働態被膜は数ナノメートルと非常に薄いながらも、科学的に安定し緻密にステンレススチールの表面を覆っているため、鉄と酸素は結合できず、錆の発生を抑制するからです。もし、傷ついて不働態被膜が破壊されても、すぐに不働態被膜が再形成されるので、耐食性を保つことができます。

ステンレススチールと一言で言っても、実は200種類以上あると言われており、それぞれの特徴は異なるので、使用環境や用途に適した種類のステンレススチールの選択は容易ではありません。今回は200種類以上の中から、日常生活で良く見かけるSUS304(304ステンレススチール)とSUS316(316ステンレススチール)とSUS316L(316Lステンレススチール)にスポットライトを当てたいと思います。

SUS304

SUS304は、オーステナイト系に属するステンレススチールで、クロム18%とニッケル8%が含有されているため、18Cr-8Niと表示されることもあります。クロムとニッケルの含有量は他の種類のステンレススチールと比較して少ないため、価格も比較的に安価になりますが、加工しやすいという特徴があり、コストパフォーマンスの高さから、一般的な家庭用品から、工場の生産装置や部品まで、非常に幅広く利用されています。

SUS316

SUS316は、SUS304と同様にオーステナイト系に属するステンレススチールですが、SUS304より多くのニッケルを含有し、モリブデンも添加されるため、SUS304より優れた耐食性を持ち、特に塩化物に対する耐食性が高いです。上記に説明した通り、不働態被膜がステンレススチールの表面を覆うことによって、鉄と酸素は結合できず、錆の発生を抑制しますが、塩分の高い環境では、この不働態被膜は不安定な状態になり、耐食性に悪影響を与えますが、モリブデンを添加することによって、不働態被膜を安定させ、耐食性が強化されます。通常の環境はもちろん、塩分の高い環境でも高い耐食性を保ちます。SUS304より高い耐食性を持ちますが、その分、価格も高価になります。

SUS316L

SUS316Lは、SUS316と比較して炭素量が少なく、より高い耐食性を持ち、「L」は「ローカーボン」の意味です。SUS316より高い耐食性を持つ理由は、クロムと炭素が結合すると、耐食性を低下させるクロム炭化物という化合物になりますが、炭素量が少なければ少ないほど、クロム炭化物の量も少なくなり、耐食性の低下を抑制することができるからです。さらにニッケルの含有量もSUS316より多いため、より高い耐食性を持ちます。耐食性の面だけではなく、加工しやすさの面に関してもSUS316より優れており、価格もSUS316より高価になります。

上記に説明したように、各種類のステンレススチールにはそれぞれの特徴と強みと弱みがあり、使用環境やアプリケーションに適した種類を正しく選択できない場合、期待したステンレススチールの性能(耐食性、等々)が発揮されない場合があります。

当社はステンレススチールハウジング採用の製品を数多くリリースしており、下記は特に代表的な製品です、ぜひご確認ください。もし不明な点などがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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